遺言には公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類ありますが、秘密証書遺言はあまり使われることがありません。そのためここでは、公正証書遺言と自筆証書遺言について説明していきます。
公正証書遺言と自筆証書遺言にはそれぞれ書き方や保管方法に違いがあり、メリットデメリットがあります。
まず、書き方に関しては、公正証書遺言は、自分では書かず公証人に書いてもらう方法です。そのため、内容を公証人に伝えるために2~3回程度公証人と打ち合わせをする必要があります。しかし、公証人に、内容に基づいて書いてもらうため要件の不備といった心配がありません。また、専門家である公証人に作成を依頼するため、公正証書の作成費用等がかかります。
逆に自筆証書遺言は、自筆で書くことのみが条件となっています。ワープロやパソコン書きは不可ですが、紙とペンさえあればどこでも書くことができる最も簡易な遺言となります。一人で書くことができるため、遺言の内容をほかの人に知られずに書くことができます。しかし、自分で書くため内容に不備があった際には遺言として認められない場合もあります。
そして保管に関してですが、公正証書遺言の場合には、公証人が書いた後、遺言者に確認を取り、原本が公証役場で管理されるため紛失の心配がありません。また、遺言の存在を明確にすることができます。
自筆証書遺言では、書いたことを誰かに言わなければ、最悪の場合遺言が発見されないという恐れもありますし、紛失するという恐れもあります。また、遺言書が発見された場合には、家庭裁判所で検認という作業を経なければなりません。
せっかく自筆証書遺言を書いたのに、誰にも見つけてもらえなかったり、見つけた人が自分に不利な内容だったら捨ててしまったり、内容を書き換えてしまうなどの問題点は以前から指摘されていました。
そこで、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という新しい法律が新設され、自筆証書遺言を法務局において保管する制度がスタートします。
保管する際に、遺言書としての条件を満たしているかどうかも確認されるため、後に無効とされる危険性を除去することもできます。
法務局における遺言書の保管等に関する法律は、2020年7月10日に施行されます。
このように公正証書遺言と自筆証書遺言では様々な違いがあります。
簡単にまとめると、公正証書遺言は「費用は掛かるが確実」、自筆証書遺言は「簡易だが不安な点も多い。法務局による保管制度がこの不安点をカバーしている」ということができるでしょう。
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自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
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