遺言は手書きで作るものという従来の仕組みが、2026年の民法改正によって見直されました。
新設された保管証書遺言では、パソコンで作成したデータを遺言として利用できます。
もっとも、作成しただけで成立するわけではありません。
ここでは、いわゆるデジタル遺言の利点と、利用前に確認したい手続上の注意点を説明します。
デジタル遺言は保管証書遺言の一種
改正民法で設けられた保管証書遺言には、紙で作る書面保管証書遺言書と、データで作る電子保管証書遺言書があります。
一般にデジタル遺言と呼ばれるのは後者です。
遺言者は、遺言の全文を記録した証書に署名するか、法務省令で定められる代替措置を講じます。
さらに、遺言書保管官に全文を口頭で伝え、法務局へ保管を申請しなければなりません。
これらの方式を満たして法務局に保管された時点で、遺言としての効力が生じます。
手書きや保管に伴う負担を減らせる
自筆証書遺言では、財産目録を除く本文を遺言者本人が手書きする必要があります。
長い文章を書くことが難しい方にとっては、作成そのものが負担になるでしょう。
電子保管証書遺言書なら、本文をパソコンで入力することが可能です。
修正や書き直しもしやすく、筆跡の読みづらさによる問題も避けられます。
完成した遺言は法務局が管理するため、自宅で保管する場合に比べ、紛失や隠匿、第三者による改ざんの危険も小さくなります。
相続開始後の検認を省略できる
自宅で見つかった自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所へ提出し、検認を受けなければなりません。
検認期日まで待つ必要があるため、相続手続がすぐに進まないこともあります。
法務局に保管された保管証書遺言には、この検認が必要ありません。
相続人にかかる手続の負担を抑え、遺言に基づく名義変更へ早く移りやすくなります。
制度の開始時期はまだ決まっていない
改正法は2026年6月17日に成立し、同月24日に公布されました。
保管証書遺言に関する規定は、公布から3年以内の政令指定日に施行されます。
具体的な施行日はまだ決まっておらず、現在は利用できません。
施行を待たずに遺言を準備する場合は、現行の自筆証書遺言または公正証書遺言を選ぶことになります。
保管しても内容の有効性までは保証されない
遺言者は、保管官の面前で遺言の全文を口述するのが基本です。
財産目録については、所定の確認措置を受ければ読み上げを省略できます。
保管官が相当と判断したときは、映像と音声による通話も利用可能です。
ただし、オンライン手続を自由に選べるとは限りません。
本人確認やデータ形式を含む詳しい利用条件は、今後定められる法務省令を確認する必要があります。
法務局で保管されても、遺言内容の法的な有効性が保証されるわけではありません。
不動産の所在や地番、家屋番号を正確に記載し、遺留分にも配慮することが重要です。
まとめ
デジタル遺言には、手書きや保管の負担を軽減し、相続開始後の検認を省ける利点があります。
一方、署名や口述、法務局への保管が効力発生の条件です。
遺言の作成でお悩みの方は、遺言と相続を扱う八木貴弘司法書士事務所にご相談ください。










八木貴弘司法書士事務所(神奈川県相模原市/緑区)|デジタル遺言(保管証書遺言)のメリットと注意点