相続手続きの中には、相続人全員の関与が必要な手続きが存在します。
認知症を抱えた相続人の方がいる場合、どのように手続きを進めたらよいか分からず、相続手続きが停滞してしまうという場合も少なくありません。
本稿では、認知症の相続人がいる場合にどのように相続手続きを進めるべきかについて、詳しく解説いたします。
相続について
相続とは、ある方がお亡くなりになった際に、その方が生前有していた権利や義務が相続人に受け継がれることをいいます。
相続の対象となる財産は「相続財産」と呼ばれ、現金や預貯金、土地、借金、知的財産権、借金等がこれに当たります。
認知症の相続人がいる場合の相続手続き
認知症を抱えた相続人の方がいる場合の相続手続きの進め方には、大きく分けて以下の2種類の方法があります。
- ⑴. 成年後見人を置く方法
- 上述の通り、相続手続きは、相続人全員が関与し、遺産分割の内容について同意していることが必要となります。
そのため、相続人の方には、原則として、有効な意思表示ができることが要求されます。
もっとも認知症を抱えているなどの理由によりご自身だけでは有効な意思表示ができない方が相続人となる場合もありますので、このような場合には成年後見人を代理人として置く必要があります。
成年後見人を代理人とするには、まず家庭裁判所に対して後見開始の申立てを行い、成年後見人を選任することが必要となります。
この成年後見人の選任には通常2、3か月の期間を要しますので、なるべく早めに後見開始の申立てを行うことをおすすめします。 - ⑵. 成年後見人を置かない方法
- 相続手続きは、お亡くなりになった方の意思を最大限尊重して行われる手続きです。
そのため、有効に成立した遺言書がある場合には、原則としてその遺言書通りに遺産分割が行われます。
このような場合には相続人間での協議は必要ありませんので、相続人全員が関与すべき相続手続き自体がなくなり、認知症を抱えた相続人の方がいらっしゃっても成年後見人を置かずに相続手続きを進めることができます。
また、民法によって規定されている法定相続分に従って遺産分割手続きを進める場合にも相続人の意思表示が必要とはならないため、成年後見人を置く必要はありません。
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本稿では、認知症の相続人がいる場合にどのように相続手続きを進めるべきかについて解説していきました。
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八木貴弘司法書士事務所(神奈川県相模原市/緑区)|認知症の相続人がいる場合はどのように相続手続きを進めるべき?