戸籍法の基本の「き」/八木貴弘司法書士事務所(神奈川県相模原市/緑区)

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戸籍法の基本の「き」
2023/01/15

こんにちは。司法書士の八木貴弘です。

 

相続の際にはまず戸籍の収集が必要になってきますが、「戸籍が取れない」「どの戸籍を揃えればいいのか分からない」などの問い合わせが少なからずございます。

どのような根拠で自身あるいは親族の戸籍を取得できるのか、改めて戸籍法を辿っていきたいと思います。

 

 

まず、戸籍の請求ができる人は?

 

戸籍法第10条

戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第24条第2項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

 

これが基本です。ただ、これだけでは、傍系血族(兄弟姉妹、甥・姪 等)の戸籍を取得することはできません。

 

 

親族の戸籍を取得するにはどうしたらいいの?

 

戸籍法第10条の2

前条第1項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

1.自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由

2.国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由

3.前2号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由

 

 

本人以外の人が戸籍を請求する場合、いわゆる「第三者請求」についての条文になります。

 

これが相続について、本人が傍系も取れる根拠条文です。直系存続・卑属、あるいは相続人でなくとも取れる規定です。

第10条との違いは各号に定める事項を明らかにしなければならないという要件があることです。(逆にいえば直系であればなんら取得することに理由は必要ありません。ただし、不当な目的によることが明らかなときは請求を拒否されます。)

 

相続登記のために取得する場合は2号「国への提出するため」に基づきます。登記はなく銀行への提出する場合は1号「自己の権利の行使」あるいは3号に基づくことになります。

 

 

専門家はどうして職権で戸籍が取れるのか?

 

戸籍法第10条の2

3 第1項の規定にかかわらず、(略)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、(略)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第1項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

4 第1項及び前項の規定にかかわらず、(略)、司法書士、(略)は、受任している事件について次に掲げる業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。(略)

2.司法書士にあつては、司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第3号及び第6号から第8号までに規定する代理業務(同項第7号及び第8号に規定する相談業務並びに司法書士法人については同項第6号に規定する代理業務を除く。)

(略) 

 

 

司法書士が職権で戸籍が取得できる根拠の条文です。どんな理由でも取得できるものではなく、事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしなければならないとされています。

 

当然、根拠なく他人の戸籍を取得したら犯罪ですし、懲戒処分の対象となります。

 

 

八木貴弘司法書士事務所では、戸籍の収集から相続関係図の作成、遺産分割協議書の作成、相続登記手続き、預貯金解約払戻手続き等、相続に関する手続き全般をワンストップで取り扱っております。

 

手続を進めていく中で不明な点がありましたらいつでもお問合せください。

 

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